パソコンやスマホでの調べ物など、私達はとにかく「目」を酷使しがちです。
「最近、目がショボショボする」「寝ても目の奥の重みが取れない」とお悩みではないでしょうか。さらに、夏のお出かけなどで強い紫外線を浴びたあとに、いつも以上の疲れを感じた経験がある方も多いかもしれません。現代の医学では、これらは「ピントを合わせる筋肉のコリ」や「紫外線による目の炎症」と説明されます。しかし、「東洋医学」の視点で見ると、実はこれらはすべて、体の中の「ある臓器」が疲れているサインなのです。
今回は、「目の日焼け」と「疲れ目」のメカニズムを優しく解説します。簡単なツボやセルフケアもご紹介しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
1. なぜ「目」のトラブルは「肝(かん)」に関係するの?
東洋医学には、体の中の臓器と、外側にあるパーツは深くつながっているという面白い考え方があります。
その中でも「目」と一番深い関わりを持っているのが、「肝(かん)」という臓器です。
西洋医学での肝臓は「デトックス(解毒)の臓器」として有名ですが、東洋医学の「肝」には、もう一つ大切な役割があります。それは、体の中の血液や栄養(東洋医学では『血(けつ)』と呼びます)をたっぷりと蓄えておく「血液のプール」としての役割です。実は、目は単体で動いているわけではなく、このプールから常に栄養と潤いを分けてもらうことで、初めて正常に物を見ることができます。しかし、スマホをじーっと見続けるなど、目を過剰に使いすぎると、プールに溜まっていた栄養がみるみるうちに消費されてしまいます。スマホの充電がゼロになるように、瞳のバッテリーが切れてしまった状態。
これが、東洋医学から見た「乾き目」や「疲れ目」の正体なのです。
2. 夏の天敵:「目の日焼け」を東洋医学で説明すると?
夏に強い紫外線を浴びたあと、目が真っ赤になったり、頭までズキズキ痛くなったりしたことはありませんか?
現代の医学では「紫外線による炎症」ですが、東洋医学ではこれを「熱の邪気(じゃき)」が体に侵入したと考えます。
東洋医学の面白いところは、自然界の現象(暑さ、寒さ、乾燥、湿気など)をそのまま体のアラートに当てはめるところです。強い日差しや紫外線は、体に害を与える「過剰な熱」として捉えます。先ほど、目は「血液のプール」から潤いをもらっているとお話ししました。勉強やスマホでただでさえプールの水(潤い)が減っているところに、紫外線という「強い熱」が外からやってきたらどうなるでしょうか。プールの水がカラカラに蒸発してしまいますよね。これが、日焼けをしたあとに目が異常にゴロゴロしたり、激しい疲れを感じたりする理由です。
東洋医学では、病気の原因を「外からの影響(紫外線)」と「内側の状態(目の使いすぎ)」の両方のバランスで考えていくのです。
3. 目のトラブルに効果的なツボ(経穴)と、簡単なセルフケアのご紹介
① 目が赤くて痛いとき(日焼けの初期)ケアの基本:
まずは冷やす「熱の邪気」を逃がすのが鉄則です。冷たいタオルを目元に当てましょう。
おすすめのツボ
【攅竹(さんちく)】
場 所: 眉頭の内側のくぼみ。
押し方: 親指または人差し指で優しく押し上げるように刺激します。じわっと目の奥が軽くなるのを感じられるはずです。

② 目が重くてかすむとき(いつもの疲れ目)ケアの基本:
今度は温める!ホットタオルなどで目元を温めて、減ってしまった「血液のプール」の巡りを良くしてあげます。
おすすめのツボ
【太衝(たいしょう)】
場 所: 足の甲の、親指と人差し指の骨の間を足首に向かってなぞっていき、骨が交わる手前のくぼみ。ドクドクと脈を感じる部位にとりますが、脈が感じない場合はくぼみで大丈夫です。
押し方: 親指の腹で、痛気持ちいいくらいの強さで優しくクルクルと円を描くように揉みほぐします。頭のモヤモヤも不思議とすっきりします。

4. 明日からできる食事と睡眠のアドバイス
東洋医学では、治療だけでなく、日々の生活(食事や睡眠)を見直す「養生(ようじょう)」という考え方をとても大切にしています。
簡単にできる、目のバッテリーを回復させる2つのコツをご紹介します。色の濃い食材を食べる東洋医学では、目のプール(血液)を増やすために「赤や黒、緑の食材」が良いとされています。
特におすすめなのが、杏仁豆腐の上に乗っている赤い実「クコの実」です。

他にもブルーベリーやほうれん草、レバーなどは瞳に栄養を届けてくれます。

夜の23時から夜中の3時の間が、最も「肝(かん)」という臓器が活発に働く時間です。この時間に横になって寝ることで、血液がプールへと戻り、目のバッテリーがしっかりと充電されます。夜遅くまでスマホを見るのは、瞳にとって一番のNGです。
遅くても24時から24時半には寝るように心がけましょう。
まとめ
自分の体で変化を感じることが、素敵な鍼灸師への第一歩です。
勉強は、覚えることがたくさんあって大変そうに見えるかもしれません。しかし、東洋医学の一番の魅力は、今回のように「自分の体を使って、その効果をすぐに実感できること」にあります。「目が疲れたから、あのツボを押してみよう」「今日は早く寝て目を休めよう」と、自分の体で試した小さな成功体験が、将来、患者さんを治療するための大きな知識と自信に変わることでしょう。

