「試合前なのに身体が重い」
「練習をすると、いつも同じところが痛くなる」
「ケガから復帰したけれど、まだ思い切りプレーするのが怖い」
部活動やスポーツをしている高校生の中には、このような経験をしたことがある人もいるのではないでしょうか。
スポーツ選手が最高のパフォーマンスを発揮するためには、技術や体力を高めるトレーニングだけでなく、日頃から身体の状態を整えることも大切です。
そんなスポーツ選手の身体を支える方法の一つに、「スポーツ鍼灸」があります。
今回は、スポーツ鍼灸とはどのようなものなのか、そして鍼灸師がスポーツの世界でどのように選手を支えているのかをご紹介します。
スポーツ鍼灸って何?
「鍼灸」と聞くと、
「肩こりや腰痛のときに受けるもの」
「年配の人が受けるもの」
というイメージを持っている人もいるかもしれません。しかし、鍼灸はスポーツの分野でも活用されています。
スポーツ鍼灸では、スポーツによって起こる身体の痛みや不調に対して鍼や灸を用いるほか、日々のコンディショニングなど、さまざまな場面で選手の身体をサポートします。
例えば、サッカー選手が太ももの張りを感じている場合。
単に「太ももが硬くなっているから鍼をする」と考えるだけではありません。
どのような動きをすると痛むのか、関節はきちんと動いているのか、筋力に左右差はないかなど、身体の状態を確認しながら、選手が抱えている問題を考えていきます。
つまりスポーツ鍼灸では、「どこが痛いのか」だけでなく、「なぜそこに負担がかかっているのか」を考えることが重要なのです。

ケガをしたときだけではない?
スポーツ鍼灸というと、「ケガをした選手に鍼をする」というイメージがあるかもしれません。
もちろん、スポーツによる身体の痛みに対して鍼灸を行うことはあります。
しかし、スポーツ鍼灸が関わるのはケガをした後だけではありません。
例えば、
●練習後に筋肉の張りを感じている
●疲労がたまって身体が動かしにくい
●試合に向けて身体の状態を整えたい
●身体の違和感を抱えながら練習を続けている
このような場合にも、選手の状態を確認しながらコンディショニングを行います。
スポーツでは、「痛くなってからどうするか」だけではなく、良い状態で練習や試合に臨むために、普段から自分の身体を管理することも大切です。
そのため、スポーツに関わる鍼灸師には、選手の身体の小さな変化に気づく力も求められます。
鍼をするだけが鍼灸師の仕事ではありません
スポーツに関わる鍼灸師の仕事は、鍼や灸をすることだけではありません。
まず大切なのは、選手の話を聞くことです。
「いつから痛いのか」
「どのような動きで痛むのか」
「練習量は増えていないか」
「次の試合はいつなのか」
同じ「膝が痛い」という選手でも、その原因や身体の状態、競技、練習環境などは一人ひとり異なります。
そして身体を動かしてもらったり、筋肉や関節の状態を確認したりしながら、「この選手の身体に何が起きているのか」を考えていきます。
そのためには、鍼灸の技術だけではなく、解剖学や生理学、運動学など、人間の身体についての知識が必要です。
学校で勉強する一つひとつの知識が、実際に選手の身体をみるときにつながっていきます。

スポーツ経験が将来の仕事につながるかもしれない
現在、部活動やクラブチームでスポーツに取り組んでいる高校生の皆さん。
毎日の練習、試合前の緊張、ケガをしたときの悔しさ、思うように身体が動かなかった経験など、スポーツを続けてきたからこそ分かることがあると思います。
その経験は、将来スポーツ選手を支える立場になったときにも活かすことができます。
例えば、ケガをして試合に出られない選手に対して、身体だけをみるのではなく、「早く競技に戻りたい」という選手の気持ちまで考える。
大切な試合を控えている選手であれば、「今、この選手にとって何が必要なのか」を一緒に考える。
スポーツをする立場から、スポーツをする人を「支える立場」へ。
これも、スポーツが好きな人にとって一つの進路ではないでしょうか。

「好きなスポーツに関わり続けたい」を仕事に
スポーツに関わる仕事というと、プロスポーツ選手やスポーツトレーナーなどを思い浮かべる人が多いかもしれません。
その中には、「鍼灸師として選手の身体を支える」という道もあります。
鍼灸師は、はり師・きゅう師という国家資格を取得して、人の身体に関わる仕事をします。
そして、鍼灸の知識や技術にスポーツの知識を組み合わせることで、スポーツに取り組む人たちを支えることもできます。
高校を卒業しても、大好きなスポーツに関わり続けたい。
自分自身が競技をするだけではなく、今度は誰かの競技生活を支えてみたい。
そんな人にとって、「スポーツ×鍼灸」は将来の選択肢の一つになるかもしれません。
スポーツを続けてきたあなたの経験が、いつか誰かの「もう一度プレーしたい」「もっと上手くなりたい」を支える力になる。
鍼灸師という仕事を通して、今度はあなたがスポーツ選手を支える側になってみませんか?

