鍼灸科

鍼灸治療について

鍼灸治療は、鍼(はり)あるいは灸(きゅう)またはそれに類する物を使用し、目的に応じて身体各部に鍼を刺入(または接触)、あるいは灸を据え、疾患の治療、疾患による症状の軽減、または健康維持・増進を目的とした治療行為のことをいいます。この治療行為は、医師以外では、国家資格を有するはり師・きゅう師しか行うことができません。

鍼(はり)について

鍼には色々な種類があります。大きくは、一般的に使用される身体に刺入する豪鍼(ごうしん)、身体に接触させるのみで刺入しない鍉鍼(ていしん)、非常に短い鍼でシールと接合された貼付鍼(ちょうふしん)に分けることができます。身体に刺入する豪鍼の直径は様々で、細いものでは0.12mm、太いものでは0.3mmのものもあります。いずれにしても非常に細く、例えるなら髪の毛の太さ程度です。長さも色々ですが、目的に応じて使い分けます。貼付鍼は皮膚表面を持続的に刺激することを目的とした鍼で、貼付した状態で身体を動かしても、それ以上に鍼が身体に入らないように設計されています。鍉鍼は、敏感な方や、より微細な刺激を与えたい場合に使用します。また、豪鍼を身体に刺入し、その鍼に電気を通す鍼通電療法を行う場合もあります。
本治療所では、滅菌されたディスポーザブル(使い捨て)の鍼を使用しておりますので、ご安心ください。

灸(きゅう)について

灸は艾(もぐさ)を皮膚表面上で燃焼させ、身体に温熱刺激を与える治療法です。艾は、ヨモギの毛茸(もうじょう:ヨモギ葉の裏の白い毛)を乾燥させた物で古来から灸の原料として使用されています。方法には直接灸と間接灸があります。直接灸は施術者が指で成形した艾炷(がいしゅ)を皮膚表面に置き燃焼させる方法です。艾炷の大きさは様々で、米粒大(米粒の大きさ)、半米粒大、小豆大などがあります。燃焼温度は、艾炷の大きさ、もぐさの密度や湿度により変化し、施術者が調節します。また、艾炷を完全に燃焼させる場合と途中で消火する場合があり、消火時期でも刺激量を調整します。間接灸は艾炷と皮膚の間に介在物を設け、艾炷を燃焼させる方法で、熱刺激というよりは温感を与える方法になります。多く用いられるのは温筒灸とも呼ばれ、艾炷と皮膚の間に空気層を介在させる方法です。

治療方法について

治療を行う前にまず、診察を行います。診察方法には大きく分けて2つの方法があります。1つは現代医科学的に病気の状態をある程度把握する方法で、一般的に病院で行われる診察法に類似する方法です。画像診断や血液検査等行うのではなく、それ以外の方法で、鍼灸治療を行う上で必要な情報を確認します。もう1つは東洋医学特有の診察方法で、病気の状態を把握する方法です。これらは、東洋医学特有の問診に始まり、脈や舌の状態の確認、そして背中、腹部、経穴(ツボ)や経絡(ツボの連絡経路)の触診等を行い、全身の状態を東洋医学的に把握します。これら2つの方法から、病気の状態を把握し、適切な部位に鍼あるいは灸、または鍼通電療法を行います。適切な診察による病状の把握、それに応じた適切な治療方針、そして適切な鍼灸による刺激量が症状の緩解にとって重要となります。

適応疾患について

WHO(世界保健機構)が定めている鍼の適応疾患

頭痛、片頭痛、三叉神経痛、顔面神経麻痺、メニエール病、白内障、急性結膜炎、近視、中心性網膜炎、急性上顎洞炎、急性鼻炎、感冒、急性扁桃炎、歯痛、抜歯後疼痛、歯肉炎、急性咽頭炎、急性気管支炎、気管支喘息、食道・噴門痙攣、しゃっくり、急性・慢性胃炎、胃酸過多症、胃下垂、麻痺性イレウス、慢性・急性十二指腸潰瘍、急性・慢性腸炎、便秘、下痢、急性細菌性下痢、打撲による麻痺、末梢神経疾患、多発性筋炎、神経性膀胱障害、肋間神経痛、頸腕症候群、坐骨神経痛、腰痛、関節炎、夜尿症

その他、鍼灸治療の適応となる疾患・症状

運動器疾患

肩こり、五十肩(肩関節周囲炎)、腱板炎、変形性関節症、脊椎疾患、腱鞘炎、筋腱付着部炎、各種神経痛、スポーツ障害、痙性斜頸、運動機能障害など

消化器・呼吸器疾患

消化性胃潰瘍、潰瘍性大腸炎、過敏性大腸症候群、神経性嘔吐症、腹部膨満症、呑気症、神経性食思不振症、痔疾、過呼吸症候群、慢性閉塞性肺疾患など

疼痛性疾患

術後疼痛、ヘルペス後神経痛など

循環器疾患

低血圧症に伴う諸症状、冷え性、本態性高血圧、不整脈の一部、動悸、息切れ、心臓神経症など

泌尿器・産婦人科系疾患

過活動膀胱、前立腺肥大、月経異常、更年期障害、不感症、逆子、不妊症、インポテンツ、失禁症など

感覚器系疾患

眼瞼痙攣、眼精疲労、メニエール症候群、耳鳴り、難聴、乗り物酔い、皮膚掻痒症、アトピー性皮膚炎、多汗症、円形脱毛症、咽喉頭部異物感症など

小児疾患

小児神経症、消化不良など

その他

パーキンソン病、のぼせ、不眠、肥満症、糖尿病、脳卒中後遺症、自律神経障害など

本治療所スタッフは、姉妹校の明治国際医療大学と提携し、これまで多くの基礎的・臨床的研究を重ね、上記以外の疾患や症状に対する効果を確認し、学会等で発表して来ました。先ずはご相談下さい。

専門外来について

当治療所のスタッフは、様々な疾患・症状に対して対応することができますが、特に専門性を持ったはり師・きゅう師が在籍しております。専門性とは、特にその領域で研究・臨床を重ね、診療・治療技術に長けていることを言います。

難治性運動器障害

整形外科の医師と提携し、長年に亘り研究・臨床に携わってきたはり師・きゅう師が在籍しております。ここで行われる治療は基礎研究・臨床研究の結果から効果の確認された治療法で、脊椎疾患や組織損傷(末梢神経・靱帯・腱・骨)に対して、新たに開発された治療法もあります。運動器障害でお悩みの方、一度ご相談ください。
担当者:森川 由紀子

メンタルケア(メンタルケア、緩和医療)

ストレス社会において、メンタルケアは重要と考えられています。「病は気から」と言われますが、精神的ストレスが「こころやからだ」の不調の原因となることも多いです。また、がんなどの疾患や症状緩和にも鍼灸治療は行われています。メンタルケアや緩和医療への鍼灸の応用について、長年に亘り研究・臨床に携わってきたはり師・きゅう師が在籍しております。お悩みの方は一度ご相談ください。
担当者:福田 文彦