活動報告

卒業生が語る(第2回):『明治の良いところ』

2014年03月06日

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今回、シリーズ「卒業生が語る:『明治の良いところ』」の第二弾として、田中博先生にご登場して頂きます。
田中先生にお願いしましたところ、心よく引き受けていただき、大変ありがとうございます。

卒業生が語る:『明治の良いところ』

聞き手:ご在職中、先生は副校長の要職にあられ、その際はいろいろとお世話になりました。では早速ですが、明治の「良いところ」を、思い出も含めご披露していただければ、後進の方々のお役に立つかと思います。よろしくお願いいたします。

田中先生:こちらこそ、よろしく。早速ですが、専門学校は85年有余の長い歴史がありますが、太平洋戦争の影響で学校が一時、自然廃校してしまった時期がありましたよね。確か昭和26年だったと記憶していますが。

聞き手:私もそう伺っております。そして戦後、昭和34年に大阪府吹田市寿町の場所に再興されました。

田中先生:私は昭和35年に入学しましたから、2期生ということなんですが。卒業後、縁あって、二足のわらじを履いているというか、大阪市で開業しながら、本校の教壇にも上がらせて貰っています。当時は再興を待ちかねていたように、全国から学生が集まっていたように思います。鍼灸師になるんだという思いが強い学生ばかりだったと記憶しています。

聞き手:当時の学校は今の校舎とは違い、木造の2階建てだったと伺っていますが。

田中先生:建物は今とは格段の違いでしたが、教えて下さった先生方の熱意は相当強かったと思います。熱意の中の一つは、臨床の出来る鍼灸師になれ、と実技に力を入っていただきました。今もその熱意は変わらないと思います。その伝統の中で、附属治療所や伊勢における奥志摩実習が位置づけられていると理解しています。とくに奥志摩実習では、学生の宿泊できる場も併設されていますね。このような施設を持っているのは明治だけでしょうね。

聞き手:現在も2年生と3年生は、グループ単位でそれぞれの実習施設において、臨床の実際を学んでいます。

田中先生:”臨床に強い学生を作りたい”、という思いは、当時から今も連綿と続いている。それが明治の良いところではないでしょうか。

聞き手:今後もその良き伝統を守り、さらに深く広くさせていきたいと思います。

本校の建学の理念でもある「何が最善の治療なのかを見極め、そして実行する事が治療家としての心」を忘れず、日々情熱をもって学生の教育に当たっていきたいと思います。

田中先生:その教育について、私は専任教員の時でも、また今の非常勤講師の立場でも、1年生の授業の初めには、からだの構造をしっかり学んでください、と学生に必ず話します。例えば、解剖学や生理学をしっかり学んでくださいと。体の歪みが病気となり、さまざまな症状が出てきます。それに対し、鍼や灸でどこにアプローチすると元の状態に戻るのか。そのことを3年間で学びますよね。明治では、そのために綿密なカリキュラムが組まれています。そこも明治の良いところかと思います。

聞き手:おっしゃる通りだと思います。その延長線上に、国家試験合格にも繋がるようにカリキュラムが組まれています。

田中先生:また学生に、「あなた方は人を体を見るのに、違った『目』を持つことになります」と。「エー!?」と学生がいいますが、「1つは西洋医学的に体を観察する目、もう1つは東洋医学的に見つめる目を持ちます」と。そういう意味で鍼灸師は特殊であるがゆえに治療家としての特別の存在感があるのだと話します。

聞き手:そういう意味で、明治は2つの目を持つ鍼灸師を育てる学校であると。

田中先生:私にとって当時の恩師は、鍼灸師は「皮(かわ)屋」であれと。靴やカバンを作る人とは違いますよ。体の歪みは皮膚に現れる。体表観察を大切にしなさい、と教えられました。たしかに、体表の約365穴もの「経穴」、それを繋ぐ「経絡」ですよね。皮膚上の緊張や弛緩、浮腫や萎縮を細かく診ることで、どこに治療点を求めるかの答えが出でくるように思います。これらも明治は大切に教えていると思います。

聞き手:皮屋を作るという、意外な言葉をお聞きしました。とても興味深いお言葉かと思いますし、確かにそうだとも感じます。

田中先生:私は卒業後、45年ほど鍼灸を仕事にしてきましたが、人に喜ばれるいい職業を選んだな、と悔いはありません。それは伝統のある職業としての鍼灸師が、「開業」という形で社会貢献ができたということではないかと考えています。医療従事者の資格は数多くありますが、鍼灸は開業権を持つ職業です。学生の皆さんは、自分の城を持つぞという思いを強く抱いておられれば、3年間の授業は苦にならないかと考えます。

聞き手:おっしゃるとおり、将来の自分の姿をしっかりとイメージすることが重要かと思います。今日は、とても貴重なお話をお聞かせ頂き、本当にありがとうございました。

田中先生:こちらこそ、ありがとうございました。皆さん方にとって、これからの考えの一助になれば幸いです。
※インタビュー:平成26年2月28日(金)
(聞き手・文責:河井正隆)

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